道しるべ

西の岸の上に人ありて喚ぼうていわく

汝 一心に正念にして直に来れ

われよく汝を護らん

善導大師

↑このページのトップに戻る

彼岸

橋一つ我に掛かれリ秋の川

数藤 五城

「五城句集」所収。仙台の二高、東京の一高で数学を教え、生徒に敬慕された。

晩年の子規に指示して大いに期待されたが四十三歳で死去。後半生は浄土真宗に深く浸ったらしい。この句、一見普通の風景のようだが、題があって「浄土入可」。朝の勤行のさい読誦する正信偈の功徳を、俳句の形でのべたものの一つ。秋の野の川、そこに掛かる橋、念仏を正信すればこれを渡って弥陀の浄土に行けると。

折々のうた

人生はしばしば旅にたとえられる。喜怒哀楽の山河、愛別離苦の峠を幾たび越えてきたであろうか。そしてその旅も終りに近づいたようである。それも順調に行ってのこと。

突然に旅の終りが来ることもしばしばである。大地が尽きて一人生死の川のふちに立たされたとしよう。きっと途方にくれるに違いない。その時だ。かぼそく見えるが一本の道が対岸に通じているではないか。しかも向うから我を呼ぶ声がする。「そのまま来い」と。

往くより外はない。この道は先だった子が往き父や母も往った道、彼岸への道であった。

大岡 信

↑このページのトップに戻る