夜眠るときは、これで死んでゆくんだと思い、朝目がさめると、ああ、また生まれたわい、と思って日々暮らしています。
芹沢 光治良 作家 90才
出典:親鸞聖人の手紙「ケガに負けない強い身体をくれた両親に感謝している」
連続出場2200をも記録しようかという、広島カープ、衣笠 祥雄(40)が、今シーズンで退団する。ファンは彼を鉄人と呼ぶ。しかし彼とて、はじめから鉄人であったわけではない。捕手のポストを追われ、やっと手に入れた外車で事故をおこし、ヤケになった時もあった。阿南監督はいう。「最初からの優等生ではない。自分が苦しみながらつかんだ、その過程に頭が下がる」と…。
退団発表の記者会見で、衣笠選手は感想を求められて日は昇り、日は落ちるって感じ、自然だった」と。好きな道に若さをぶつけて燃えつきた、負けずぎらいのはげしさと、止めようもない時の流れー老いに思い切りよく身をまかせようとする素直さを感ずる。
境内の松が、とうとう枯れた。八十年前の写真を見ると、本堂の裏は一面の松林。先代の住職がこの寺に入った大正の初め頃には、まだ三十数本あったのが、戦後燃料のためにきられ、残る最後の一本であった。年輪を数えてみると一六〇年あまり、ほぼ今の本堂と同じ歳である。松にも日の落ちる時がきたわけである。これまた自然のなりゆきである。
「去年今年、老少男女おおくのひとびとの死にあいてそうろう」これも自然のことわりであれば「おどろきおぼしめすべからず」ではあろうが、やっぱり「あわれにそうらえ」である。